この記事では、画像生成AIである「Stable Diffusion」をWindows PCで簡単に使うための方法をお伝えします。特に、「Stability Matrix」というツールを使って、Stable Diffusionの使い方を簡単にスタートできる手順を紹介していきます。この記事を読めば、プログラムが分からなくても手順を追うだけで画像生成にチャレンジできるようになります。
Stable Diffusionを使うためにはUIが必要
Stable Diffusionを使うためには、画像を作るためのユーザーインターフェース(UI)が必要です。代表的なUIには以下のようなものがあります:
- AUTOMATIC1111:ユーザーに非常に人気の高いUIで、設定が充実しています。
- Forge:安定性と使いやすさに定評があるUIです。
- ComfyUI:直感的に使えるUIで、レゴブロックのように機能をつなぎ合わせることで設定を行うことができます。また、生成速度も速いです。
- Stability MatrixのInterface:シンプルな操作画面で初心者にはお勧めです。画像の生成処理はComfyUIを使っているので生成速度は速いです。
これらのUIは、Stable Diffusionの機能を十分に活用するために必要不可欠です。しかし、それぞれを個別にインストールするのは少し大変です。そこで、これらのUIを簡単に管理・インストールできる便利なツール「Stability Matrix」を使ってみましょう。
Stable Diffusionを使うために「Stability Matrix」をインストール
Stable DiffusionとStability Matrixを自分のPCにインストールして利用することは、基本的に無料で行うことができます。そのため、初心者の方でも費用を気にせず気軽に始められます。
まずは、「Stability Matrix」をインストールする方法について説明します。このツールを使うと、様々なUIを一元的に管理することができます。
1. Stability Matrixのダウンロード
Stability Matrixをダウンロードします。
- GitHubに最新のインストールファイルがありますので、StabilityMatrixのリリースページにアクセスします。
【Stability MatrixのReleasesページ】Releases · LykosAI/StabilityMatrixMulti-Platform Package Manager for Stable Diffusion - LykosAI/StabilityMatrix - ダウンロードページからWindows向けのインストーラーをダウンロードしてください。
(※2024年10月23日現在、最新バージョンは「v2.12.2」となります。)
「Assets」内にある「StabilityMatrix-win-x64.zip」をクリックするとダウンロードが開始されます。
2. Stability Matrixのインストール
インストールの方法として、こちらで指定したフォルダにインストールし、フォルダごと別の場所や別のPCに移動しても利用できるように、「Portableモード」でインストールします。
後々、別のPCや高速で大容量な新しいSSDを購入し、よりよい環境で、フォルダごと移動するだけで、今までの設定内容やダウンロードしたモデルを引き継いですぐに利用できるので便利です。
今回は、Cドライブ直下に「StabilityMatrix」(C:\StabilityMatrix)というフォルダを作ってそこにインストールする手順を記載します。
- Cドライブ直下に「StabilityMatrix」(C:\StabilityMatrix)というフォルダを作成します。
- 「StabilityMatrix」(C:\StabilityMatrix)内に、ダウンロードした「StabilityMatrix-win-x64.zip」を解凍し、「StabilityMatrix.exe」を配置します。
- 「StabilityMatrix」(C:\StabilityMatrix)フォルダ内の「StabilityMatrix.exe」をダブルクリックし、インストールを開始します。
- Windowsの保護画面が開くとがありますが、「詳細情報」をクリックし、「実行」をクリックしてください。
- 「さあ、始めよう」にて、「次の約款を読み、同意します」にチェックを入れ、「続ける」をクリック
- データフォルダを指定する画面が開きますので、「Portableモード」にチェックを入れ、「続ける」をクリックしま。(※データフォルダの指定は何もしなくても大丈夫です。)
- 統計情報(インストール時の情報等)を送信してよいかを選ぶどちらを選択してもStablility Matrixの動作には影響ありません。
この部分を翻訳すると、
使用されている機能、オペレーティング システムのバージョン、インストールされているパッケージの種類などに関する匿名データを送信して、Stablility Matrix の改善にご協力ください。送信されたデータは、お客様やお客様のアカウントに関連付けられることはなく、個人データや機密情報は含まれません。
【A】左ボタン:分析情報を共有しない
【B】右ボタン:分析情報を共有する
情報が送信されることを心配される場合は、左側ボタン【A】「Don’t Share Analytics」を選んでください。
開発に協力されたい方は、右側ボタン【B】「Share Analytics」を選んでください。 - パッケージの選択画面が表示されますが、この時点では「セットアップをスキップする」をクリックし、Stablility Matrixのインストールを完了してください。(次の章で適切なパッケージのインストールを行います。)
「Stability Matrix」の「Inference」を利用した画像作成
Stability Matrixには「Inference」という機能があり、これを使うことで簡単に画像を生成することができます。
1. ComfyUIのインストール
Inference機能を利用するには、「ComfyUI」をインストールする必要がありますので、Stability Matrixから「ComfyUI」をインストールします。
- 左メニューより「パッケージ」をクリックしパッケージ画面を開きます。
- パッケージ画面下の「+パッケージの追加」をクリックします。
- 「ComfyUI」をクリックします。
- インストールをクリックします。
- インストール完了までしばらくお待ちください。
- インストールが完了しました。
2. モデルのダウンロード
画像生成を行うには、Stable Diffusionの本体であるモデル(チェックポイント)をダウンロードします。
今回は、基本的なベースモデルとして「SD1.5(Stable Diffusion1.5ベース)」の実写系の人気モデルとして「RealBeautyMix」をダウンロードしてみましょう。
- 左メニューより「モデルブラウザー(Model Brouser)」を開きます。
- 画面上に「CivitAI」と「Hugging Face」を選ぶタブがありますので、どんなモデルかわかりやすい「CivitAI」を選択してください。 ※「CivitAI」と「Hugging Face」は、モデルをダウンロードできるサイトで、Stability Matrisでは、選んだモデルを自動で適切なフォルダへダウンロードし、管理してくれます。
- 検索ボックスに「RealBeautyMix」と入力し、「検索」ボタンをクリックします。
- 表示されている「RealBeautyMix」をクリックします。
- 「インポート」をクリックします。
- ダウンロードの進行状況は画面左下の「ダウンロード」をクリックすると確認できます。
- ダウンロードが完了しますと、Windowsの右下に完了のアナウンス画面が表示され、完了の音がピコーンと鳴ります。
3. ComfyUIの起動
- 左メニューの「パッケージ」をクリックしパッケージ画面を開きます。
- パッケージ内の「ComfyUI」の「Launch」をクリックすると起動します。
- 起動するとこのような画面が表示され、最終行に「To see the GUI go to: http://127.0.0.1:8188」と表示されます。
4. プロンプトの入力し、画像を作る
- 左メニューの「Interface」をクリックし、画像を生成する画面を開きます。
- 「Model(モデル)」の選択ボックスより、先ほどインポートした「RealBeautyMix」を選びます。
- 「Prompt(プロンプト)」に作成したい画像内容をテキストで入力します。
- プロンプトとは、生成したい画像の内容を表現する文章のことです。例えば「ひまわり畑にいる、23歳日本人女性」を生成する場合は、ChatGPTや翻訳ソフトなどを駆使し、英語に変換してから入力します。入力するプロンプトには、人物や背景などを細かく指定すると、思っていた画像に近いものが生成されます。
【日本語】「カメラをまっすぐに見つめて微笑んでいる美しい 23 歳の日本人女性の高解像度ポートレート。彼女は白いドレスを着ており、背景にはひまわり畑があります。」
【英語】「A high-resolution portrait of a beautiful 23-year-old Japanese woman looking straight into the camera and smiling.She is wearing a white dress and there is a sunflower field in the background.」プロンプトの詳しい書き方は別記事にてご案内します。
- 入力が終わったら「生成」ボタンをクリックすると、数十秒で画像が完成します。 生成された画像を右クリックすると、画像をコピーできますので、気に入った画像が生成されたら任意のフォルダに保存してください。
- Interfaceで生成された画像は、「C:\StabilityMatrix\Data\Images\Inference」に保存されていますので、確認してください。
※Stability Matrixを「C:\StabilityMatrix」にインストールした場合です。
「Stability Matrix」の起動と終了
1. Stability Matrixの起動
Stability Matrixを起動するには、インストールの時に使用したフォルダに配置した「StabilityMatrix.exe」をダブルクリックすると起動します。
2. Stability Matrixの終了
Stability Matrixの終了は、Stability Matrix画面の右上の「×」をクリックすると終了します。
「×」をクリックしたときに、ComfyUIなどのUIが起動している場合は、同時に終了してよいかを尋ねられますので、「Exit」ボタンをクリックし終了してください。
その他のUIのインストールと使い方
Stability Matrixを使うと、他のUIも簡単にインストールできます。別記事にてそれぞれのUIのインストール手順と使い方を追記いたしますので、そちらを確認してください。
まとめ
この記事では、Stable Diffusionを使うために必要な「Stability Matrix」のインストール方法と、画像生成の基本的な使い方について説明しました。パソコン操作に詳しくない方や生成AI初心者の方は、この手順に従って進めていただければ、簡単にAIによる画像生成を体験できます。
もしこの記事を読んで疑問に思ったことや困ったことがあれば、ぜひコメント欄で質問してくださいね。一緒にAIを楽しみましょう!
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